Research Abstract |
第一に,2004年4月から5月に宮城県内のすべての指定介護老人福祉施設(90施設)を対象に,郵送法による質問紙調査を実施した.回答は,介護課長や生活相談員といった施設内でケアの指導的立場にある人物,および施設長に依頼した.回収率は70%であった.入所定員や入所者の平均年齢,ユニットケアの実施の有無,職員の常勤・非常勤の割合,ユニットの数やユニット担当職員の年代,ユニットケアの運営方法などに関するデータを得た.それらのデータを分析することによって,ユニットケアを実施している施設群を,新築型,増改修型,既存型に区別し,それぞれのモデルの特質と問題点を導き出した.これについては第51回東北社会学会(2004年7月,於:弘前大学)で報告をおこなった. 第二に,上の調査をつうじて,ユニットケアの運営に重要な役割を果たすと考えられるユニットリーダー(以下,「リーダー」)の位置と役割にかんする詳細なデータを各施設から得た.リーダーの性別,年齢,学歴,有資格状況,組織内での位置づけ,異動状況,期待される役割やリーダー育成の方法などについて分析し,リーダーがおかれている現状と問題点を明らかにした.データ分析に加えて,新築型と増改修型の施設のリーダーを対象に聞き取り調査を実施した.これについては第77回日本社会学会(2004年11月,於:熊本大学)にて報告をおこなった. 第三に,ユニットケアの全国的なレベルを明らかにするために,高齢者ケアの先進事例の視察・見学をおこなった.老人保健施設「ひまわり」(医療法人社団豊生会,札幌市),特別養護老人ホーム「アザレアンさなだ」(社会福祉法人恵仁福祉協会,長野県小県群真田町)などにて,聞き取り調査をおこなうとともに資料収集をおこなった.
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