地域観光開発と選択的定住民-非選択的定住民関係の相互連関に関する社会学的研究

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16730263
• Research Institution: Aichi Prefectural University
• Principal Investigator: 井戸 聡 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (40363907)
• Keywords: 地域社会 / 観光 / 地元 / 定住

Research Abstract

本年度は、昨年度に引き続き、調査対象に関連する各種資料の収集のほか、調査地における地域調査を行った。また同時に得られたデータを整理分類し、データベース化する作業を継続して行い、得られた資料およびインタビュー・データの分析を行ってきた。今後も上記の作業は継続して行われる予定である。
本研究では、観光地化した地域社会に、観光シーズンに限定的に訪れて一定期間定住する人々に着目しているが、本年度の調査研究では、それらの人々の職業選択に着目した。調査地においては、専門的技能が必要とされる専門職とさほど専門的知識・技能を問われない非専門職という二つに大別できる職業選択肢が存在していることが確認された。それらの職業選択の自由度と「定住」「非定住」の関係性、あるいは地元社会への参入の度合いが関連している傾向が読み取れることが明らかになりつつある。これまでの聞き取り調査の進行状況は、専門的技能職層に比重を重く置いてきたが、今後は非専門職層への調査にも厚みを加える必要性がある。専門職・非専門職の各層には連続性も観察されるため、各層の職業や職場の履歴も重要な調査項目となる。ただし非専門職層に特徴的な流動性と地域社会との関係性の希薄さから継続的な聞き取り調査およびデータ収集が困難となっていることも事実である。