2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市部と近郊自治体における福祉・医療資源の分配構造に関する福祉社会学的研究
Project/Area Number |
16730281
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青山 泰子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (80360874)
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Keywords | 福祉資源 / 医療資源 / 高齢社会 / 高齢者福祉 / 生活福祉センター / 在宅介護支援センター |
Research Abstract |
研究課題は、都市部と近郊自治体における福祉・医療資源の分配構造に関する福祉社会学的研究である。都市部としては札幌市、近郊自治体としては札幌市を含む石狩管内市町村の中にあり、かつ北海道内で高齢化率の最も高い(2004年3月現在で40.4%)浜益村を主な調査対象地とした。平成16年度は、まず浜益村の福祉・医療資源を把握し、それらと村在住高齢者の生活との関係について、特に村の福祉・医療資源の利用の仕方を検討しつつ、今後の村内資源の発展・利用可能性と分配構造に関して課題をまとめた。高齢者数は同時期905人おり、うち後期高齢者は484人である。村内には高齢者が居住可能な施設として、平成元年にシルバーホームが、平成10年には訪問介護、通所介護、居住部門から成る高齢者生活福祉センターが在宅介護支援センターと併設の形で開設された。さらに平成15年には特別養護老人ホームとグループホームが開設されている。福祉サービスは社会福祉協議会が中心になって、配食、除雪、訪問理容、入浴などのサービスが行われている。ボランティア団体はあるが、高齢者福祉分野における定期的な活動を確保しているわけではない。医療資源については、村内に診療所はあるが、大きな病院にかかる場合には、近郊の札幌市か滝川市の医療機関を利用することになる。福祉系の施設やサービスが充実することで、これまで高齢者が近郊都市部の医療資源を利用することで得ていたものの機能的代替性を、その一部でも確保することができるのかどうか。都市部の福祉・医療資源を利用すること自体に大きな問題はないにしても、福祉・保健・医療の分野を問わず、市町村合併が進む一方で、居住地独自の伝統的対処方法の保持は可能か、新しい対処方法の編成を目指すのか、もしくは隣接市町村の資源やその活用方法に乗じていくのか。行政の選択と住民の期待とを照合し検討していく価値があろう。
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