2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市部と近郊自治体における福祉・医療資源の分配構造に関する福祉社会学的研究
Project/Area Number |
16730281
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青山 泰子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (80360874)
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Keywords | 福祉資源 / 医療資源 / 高齢社会 / 高齢者福祉 / 福祉社会学 |
Research Abstract |
研究課題は、都市部と近郊自治体における福祉・医療資源の分配構造に関する福祉社会学的研究である。主な調査対象地は、旧浜益村(現石狩市浜益区)であり、北海道内の高齢化率が最も高い場所である(2005年8月現在42.2%)。平成17年度は、旧浜益村に居住する在宅一人暮らし高齢者に対する全数調査を実施した。調査は、平成17年8月〜11月にかけての訪問面接調査で、日常生活の様子、旧村内における福祉・医療施設やサービスに対する認知度や利用の現状、家族関係、近隣関係の様子などについて、半構造化インタビュー調査を行った。面接総数は、対象212人中、94人である。 高齢者の健康に対する関心は総じて高い。旧村内には診療所が1箇所しかないが、日常的に必要な薬の調達や軽度の治療のために不可欠な存在である。しかし同時に、高度に専門的な治療は、都市部の医療機関に頼らざるをえない。交通の便は必ずしもよくないため通院が困難な場合もあるが、村内の医療は、都市部の保健・医療機関との関係を保ちつつ、高齢者の医療ニーズに応えている現状である。福祉資源については、旧村内の福祉施設に対する認知度は総じて高い。しかし福祉サービスについては、温泉入浴サービスのように認知度も利用度も高いものと、理美容サービスのように存在がよく認識されていないものとに分かれた。在宅高齢者の日常的な困難に応える手段の一つとして福祉サービスは有効と思われるが、まずはその存在を周知させることが不可欠である。一人暮らし高齢者にとって、家族は日常的な物質的、身体的支援源としては必然的に期待できないが、精神的もしくは情緒的支援源としての期待は高い。近隣との関係性は総じて密接である。前者の支援源として、近隣関係にその機能的代替性が認められた。その関係性が希薄な高齢者の場合に、保健師などのフォーマルな存在が高齢者の生活に入り込む余地が大きいものと思われる。
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