2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケアワーク雇用の質と福祉レジームとの関連に関する実証的研究-日本の位置と展望-
Project/Area Number |
16730290
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
森川 美絵 国立保健医療科学院, 福祉サービス部, 研究員 (40325999)
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Keywords | ケアワーク / 介護労働 / 福祉国家 / 福祉レジーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本のケア労働力の配置・雇用状況について、福祉レジームおよびケアの概念構成との関連に着目し、先進諸国と比較可能な統計・実証データを用いてその国際的な位置や特質を実証的に明らかにすることである。 本年度は研究初年度として、(1)先行研究の整理と分析枠組みの検討、(2)既存データの検討を課題とし、課題はおおむね達成された。 (1)について、本年度は、2つの研究会で報告をした。ケアワークの社会経済的評価や労働市場を規定するマクロな要因として福祉レジームを設定し(Esping-Andersen 1999,森川 2004)、より具体的な制度レベルの枠組みとして、(a)フォーマルなケア供給の制度化のあり方(供給規模=量と範囲、質=専門化・実践基準の明確化等の規制)(Theobald 2003)、(b)インフォーマル/アンダーグラウンドなケア提供に対する規制のあり方(Ungerson 2003, Bettio and Simonazzi 2004)の重要性を明らかにした。 (2)について、多国間比較を可能にするデータの検討・選定を行った。ケア供給規模の多国間比較データとして、EUROSTAT、OECD、アメリカ社会保障統計などが活用可能と判断される。ケアワークの専門分化・職種別雇用状況のデータとしては、欧州についてはEUROSTATとそれを利用した国際比較研究(例えばMoss & Cameron 2002)、アメリカについては連邦政府レベルでのデータ整備に関する研究(HRSA 2004)、日本については職業雇用賃金関連の統計による概要把握のほか、介護労働安定センター等による介護職調査などが、一定のデータ整理上の困難を伴いつつも活用可能と判断される。 来年度は、今年度の成果をふまえ、分析枠組みにもとづく具体的な分析指標の設定と、各指標に対応した各国データの編集および分析を中心に進める。
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