2005 Fiscal Year Annual Research Report
メディアの協調性に関する実験的研究-メッセージの認知バイアスの検討-
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16730310
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
佐々木 美加 常磐大学, 人間科学部, 専任講師 (90337204)
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Keywords | 協調性 / メディア / ワーキングメモリ / 意図帰属 / 非言語メッセージ / 言語メッセージ / TV電話 / 音声会話 |
Research Abstract |
本研究では、メッセージの認知バイアスが生じる条件を実験的に明らかにし、どのような伝達機能を備えたメディアが協調的相互作用を生じやすいのかを検討するものである。本年度は、昨年度の予備実験によって新たに作成されたシナリオを用いて実験を行った。本年度の実験では、協力場面においても非言語メッセージの認知バイアスが生じるかどうか、そのバイアスは用いられるメディアによって違いがあるかどうかを実験的に検討した。実験要因は、非言語メッセージの好意性(好意、敵意)とメディア(音声、TV電話)および被験者のワーキングメモリ(高、低)であった。音声会話は、高性能のマイクとオーディオミキサー、音声分配器、デジタルデッキを備えて被験者の会話の反応を測定した。TV電話会話は、音声会話装置に加えて映像分配器、モニター、カメラを設置して音声と表情が伝達される会話を行なった。その結果、協力場面であっても、これまで見出されたものと同様に非言語メッセージの意図帰属においてネガティビティ・バイアスが生じていることが示された。非言語メッセージが好意的であるほど被験者の経験する感情は協調的であった。また、メディアの要因では、TV電話の方が敵意帰属や怒り感情の経験が強く見られる傾向があった。ワーキングメモリに関しては、ワーキングメモリが高群の被験者の方がワーキングメモリ低群の被験者よりも好意的な意図帰属を行なうことが示唆された。これはワーキングメモリの必要量が異なるメディア間では、相互作用の協調性に違いが生じることをうかがわせる。本研究では、メディアとワーキングメモリの交互作用は見られなかった。これは、本研究のメディア要因では、TV電話と電話であったため、両者のあいだで必要なワーキングメモリの量がそれほど顕著ではなかったからであろう。来年度以降は、e-mailの交換システムを導入し、新たなメディア・コミュニケーションとの比較研究を行なう。本研究において明らかにされた会話中のワーキングメモリと相互作用の協調性との関連について来年度はさらに検討を進める予定である。
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