2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730312
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
清水 裕 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教授 (70246007)
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Keywords | 援助行動 / 否定的感情 / 肯定的感情 / 自尊感情 / 援助の道具性 / 質問紙調査 / 実験 / 大学生 |
Research Abstract |
研究の初年度にあたり、援助行動と感情に関する先行研究の文献を収集・整理し、以下の2つの研究を実施した。 第1研究では、否定的感情を解消するために援助行動がどの程度道具になると考えられるか、"援助の道具性の認知"を明らかにする目的で質問紙調査を実施した。質問紙では、日常的に行われる援助行動9種類を提示し、(1)援助行動意図、(2)援助に関わる物理的・心理的出費(援助コスト)の認知、(3)援助により気分が向上する可能性に関する認知、(4)自己の性格特性に関する肯定的評価または否定的評価を受けた場合に当該の援助を行うことで自己の性格を再確認できる可能性の認知を尋ねた。大学生140名を被験者として調査を実施した結果、援助を行うことで、性格特性としての"個性の強さ"よりも"情緒的共感性"を確認できると考えられていた。 第2研究では、援助行動が否定的感情を解消する機能を有しているのか否かを検討するため、実際に被験者の感情を操作したうえで援助を行うか否かを意思決定する機会を与え、肯定的な感情状態にある被験者よりも否定的な感情状態にある被験者の方が援助的であるかどうかを分析した。感情の操作は、性格特性尺度の結果をフィードバックして行った。感情要因として否定的および肯定的フィードバック条件を設けたうえ、援助の道具性要因として、第1研究の結果から道具性に差異が存在する性格特性のフィードバックとして"情緒的共感性"条件および"個性の強さ"条件を設けた。女子大学生94名を対象に実験したところ、ボランティアをしてもよい時間の上限に関して、道具性要因と感情要因の交互作用効果に有意な傾向が認められ、"個性の強さ"条件には差がなかったが"情緒的共感性"条件において肯定的感情よりも否定的感情の時に援助的な傾向が認められた。さらに、援助を行った場合の方が、行わなかった場合よりも有意に感情が向上していた。
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Research Products
(1 results)