2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730312
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
清水 裕 昭和女子大学, 生活機構研究科, 助教授 (70246007)
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Keywords | 感情 / 自尊感情 / 援助行動 |
Research Abstract |
否定的感情状態が援助行動意図を増加させるか否かを検討するための実験(実験1)と援助行動が否定的感情を解消させる機能を持つか否かを検討するための実験(実験2)を実施した。実験1では大学生男女を被験者とし、否定的感1情を誘導するために、(1)飼い犬が死んだ話を聞かせる(N=135)、(2)共感性が低いという偽の心理テストの結果を返す(N=97)、(3)不協和音からなる音楽を聞かせる(N=163)の3条件を設定して独立変数とした。また、従属変数として援助場面を12場面設定し、否定的感情生起の前後での援助行動意図の変化を分析した。3条件全てで援助行動意図が増加した援助場面は4場面、3条件全てで援助行動意図が増加しなかった場面は2場面であり、残り6場面ではいずれかの条件で援助行動意図が増加した。条件による差異はあるが、総じて否定的感情は援助行動意図を増加させた。実験2では、女子大学生を被験者とし、共感性が低いという偽の心理テストの結果を返すことで否定的感情(自尊感情低下の脅威)を誘導し、後に援助行動をさせ否定的感情が解消されるか否かを検討した。従属変数は、否定的感情が誘導された時点と文章の校正作業をさせた後の時点間の感情の変化とし、独立変数はこの校正作業を「他者への援助である」と教示する援助条件(N=21)と、「援助」とは言わない単なる作業条件(N=23)の2条件を設定した。結果として、援助行動の自尊感情回復機能は示されなかったが、「爽快感」と「落ち着き」では単なる作業条件でよりも援助条件で感情回復度が高くなった。したがって、援助行動における感情改善機能の存在が一部ではあるが示された。
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