2005 Fiscal Year Annual Research Report
老人施設の集団活動における痴呆症高齢者と介護者の相互作用の成立過程
Project/Area Number |
16730314
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小野寺 涼子 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師 (70360203)
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Keywords | 老人施設 / 集団活動 / 認知(痴呆)症高齢者 / 相互作用 / 社会文化的アプローチ / ナラティブ |
Research Abstract |
本年度は本調査として,施設内での集団活動において興味深い実践を展開している,高知県のグループホームにおいて1回,東京都の特別養護老人施設において6回程度,北海道の介護老人保健施設において2回,岐阜県の幼稚園で実施されたワークショップにおいて1回の観察を実施した. 調査では,1.デジタルビデオ機器を用いた集団活動における介護者と利用者の相互作用場面の撮影と記録,2.集団活動を運営する主な介護者への面接調査,3.各施設で提供される介護サービスのシステムの検討,を行った. 得られた記録は,コンピュータを利用してデジタルメディアに保存し,目録とトランスクリプト(文字記録)の作成を行っている.結果については,社会文化的アプローチにおける相互作用研究(Vygotsky,1924; McDermottら,1988)や教育におけるナラティブ研究(Bruner,1986; Eagan,2005)の成果を参考にして,介護者と利用者の相互作用を会話において物語が生成し展開する過程として捉え,分析を進めている.相互作用場面において特徴的な物語の形式の同定と,教授学習における意味について検討し,更に他の相互作用や集団活動との比較を行う予定である.調査については,可能な範囲で次年度も継続する予定である. こうした研究成果については,経過を発達心理学会のニューズレターに簡単に紹介し(2005年6月,No.45,pp.11-12),ふくおか老年学研究会(2006年2月)にて発表を行うことで,関心を持つ他の研究者たちと議論し検討する機会を設けている.また2006年3月の発達心理学会においても,研究の方法論に関するラウンドテーブルの実施を予定している.
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