2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730334
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小塩 真司 中部大学, 人文学部, 助教授 (60343654)
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Keywords | 自己愛 / 青年期 / ライフイベント / 理想自己 / 現実自己 |
Research Abstract |
青年期は自己の再構成が重要な課題であり,児童期までにいったん確立された自己の構造が大きく変化する時期であると言われている。そしてそのような自己の再構成の時期には,自己愛的な状態に陥りやすいことが指摘されている。このような自己愛的な人格を中心とした青年期の心理的特徴を探ることが本研究の目的である。 今年度はまず第1に,2ヶ月の間隔を空けた調査から,対人ネガティブライフイベントをより多く経験する者ほど抑うつ的な感情を経験すること,自己愛が全体的に高い者は低い者に比べて抑うつ的な感情を経験しにくいこと,自己愛が全体的に高い者の中で「注目・賞賛欲求」が「自己主張性」に比べて高い者の方がそうでない者よりも,抑うつ的な感情を経験しやすいことを明らかにした。 また第2に,自己愛傾向と理想-現実自己の不一致の程度および,理想自己の記述内容との関連を検討した。自己愛傾向の2成分モデルによって被調査者を4分類し,現実-理想自己の不一致の程度を比較したところ,自己愛傾向が全体的に高く自己主張性が優位な者は不一致が小さく,自己愛傾向が全体的に低く注目・賞賛欲求が優位な者は不一致が大きいことが示された。また,理想自己の記述を4群で比較したところ,同じ自己愛傾向が全体的に高い群であっても,注目優位群は現在の自分に欠けている要素を補うような理想自己の記述を報告するのに対し,主張優位群は将来に向けた前向きな理想を記述する傾向にあることなどが明らかにされた。 これらの検討から,青年期における自己愛の様相について,その一部が明らかにされた。
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