2005 Fiscal Year Annual Research Report
臨床現場の表現療法をめぐる民俗学的・心理哲学的研究
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16730345
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
猪股 剛 群馬大学, 教育学部, 助教授 (90361386)
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Keywords | 夢分析 / 民俗学 / 臨床心理学 / 心理哲学 / 湯治場 / ドイツ / ユング心理学 |
Research Abstract |
本研究の一年目であった平成16年度はヨーロッパ文化と日本文化を横断的に研究し、特に樹木画の表現療法の研究と、音楽的表現療法の研究を行ったが、研究の二年目となる平成17年度は、昨年度収集された基礎資料の分析研究をもとに、それを夢と夢分析を中心とした表現療法へと拡張した研究を行った。その際、夢に関しての国内資料は、群馬大学心理教育相談室での相談活動の中からクライエントの報告する夢を収集するとともに、10月には県内の湯治場である草津および四万をまわり民俗的なものを収集した。またヨーロッパ文化圏の夢の資料収集とドイツでの夢分析研究の動向を知り、本研究に生かすために、9月にはドイツ連邦共和国ミュンヘン市を訪ね、バイエルン州立図書館にある研究資料を整理分析し、ドイツ・ユング派精神分析家のWolfgang Giegerich氏と意見交換も行った。 その成果は、群馬大学教育学部紀要に「不可知への心理学」として発表された。そこでは、クライエントの夢、メルヴィルのバートルビーという小説、ユングの夢、日本の小説に登場する夢などを基礎資料として、夢という表現を既知のものとして百科全書的に理解しようとするのではなく、その不可解な様態と臨床的にどのように向き合い、理解に近づきながらも不可知に留まることが、いかに治療的であるかが研究されている。 また、本研究から派生したものとして、従来からの個人研究の集成である書物『心理学の時間』の出版にいたった。その原案は平成15年度に提出された学位論文にあるが、平成17年度12月の出版に際して、本研究の成果が新たなものとしてそこに盛り込まれるにいたり、本書物の持つ研究の精度を高めることに貢献している。
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Research Products
(2 results)