2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺がん患者の身体活動が心理的適応、QOLに及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
16730350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 啓 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (70294014)
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Keywords | 肺がん患者 / 身体活動 / 心理的適応 / セルフ・エフィカシー / 抑うつ / 不安 |
Research Abstract |
肺がん患者の身体活動と心理的適応、QOLの関係について検討するために研究を行った。本年度は昨年度に引き続きデータの蓄積を行った。研究は、ベースラインにおける抑うつ・不安・セルフ・エフィカシーなどの心理的状態の測定を行った後、身体活動の指標としてライフコーダーを実際に対象者に装着を依頼した。1週間後、2週間後、4週間後に心理的状態の測定、ライフコーダーの解析とその結果のフィードバックを対象者に行うプロトコルとした。平成18年1月末現在、実際の研究を開始し、近畿圏の呼吸器専門病院に入院中で研究への参加に文書にて同意の得られた肺がん患者9名が研究に参加した。対象者は男性7名、女性2名で、平均年齢は61.7歳であった。このうち3名は身体状況の悪化したため研究への参加を途中で打ち切った。残り6名の28日間での一日あたりの平均歩数は9196.1歩であった。抑うつ・不安尺度のHADS(それぞれ11点以上であると精神医学的診断域となる)の抑うつは平均6.00点、不安は平均7.13点、セルフ・エフィカシー尺度(100点満点)は平均69.84点であった。これらの結果から、今回の対象者は入院中の進行肺がん患者ではあるがかなり活動を行っていた。身体活動量と心理的適応との関連について検討したところ、対象者の全身状態や化学療法を受療することが身体活動量に大きく影響し、心理的適応との関連については明確な関連を示す結果を得られていない。 そこで、身体活動量と心理的適応の変化の関連性にのみ焦点をあてて、肺がんでも比較的全身状態の良好である外科術後の肺がん患者を対象とした調査を開始した。近畿圏の大学病院呼吸器外科入院中および、外来通院中の肺がん患者を対象者として、1ヶ月間のライフコーダーの装着とベースラインを含めて5回の質問紙への回答によるプロトコルを作成した。平成18年2月2日より調査を開始し、2月末の時点で、9名の対象者が研究に参加している。 来年度は2つの調査の完了と解析、国際学会での発表を行う予定である。
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