2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺がん患者の身体活動が心理的適応、QOLに及ぼす影響に関する研究
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16730350
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 啓 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 助手 (70294014)
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Keywords | 肺がん患者 / 身体活動 / 心理的適応 / セルフ・エフィカシー / 抑うつ / 不安 |
Research Abstract |
肺がん患者の身体活動と心理的適応、QOLの関係について検討するために研究を行った。身体活動量と心理的適応の変化の関連性にのみ焦点をあてて、比較的全身状態の良好である外科術後の肺がん・悪性呼吸器疾患患者を対象とした前向き観察研究を実施した。研究参加への同意が得られた19名を対象として、調査は約1ヶ月間行われ、研究は、ベースラインにおける抑うつ・不安・セルフ・エフィカシーなどの心理的状態の測定を行った後、身体活動の指標としてライフコーダーを実際に対象者に装着を依頼した。研究開始時、2週間後、3週後、4週間後に心理的状態を測定し、その間、ライフコーダーにより身体活動量を測定した。対象者は男性11名・女性8名、平均年齢は65.2歳、平均BMIは22.6、Performance Statusは0:6名、1:12名、2:1名であった。第1週目と第4週目のデータついて比較検討した。第1週目の平均活動量(歩数)は、4983.74歩、抑うつ・不安尺度のHADS(それぞれ11点以上であると精神医学的診断域となる)の抑うつは平均5.42点、不安は平均4.79点、セルフ・エフィカシー尺度(100点満点)は平均70.18点であった。第4週目の平均活動量(歩数)は、4958.84歩、抑うつ・不安尺度のHADSの抑うつは平均5.21点、不安は平均4.53点、セルフ・エフィカシー尺度は平均73.81点であった。繰り返しのある分散分析の結果、第1週目の抑うつが歩数に有意に影響(F(1,17)=7.53,p<0.05)を与え、セルフ・エフィカシーが有意傾向に影響を与えていた(F(1,17)=4.40,p<0.10)。不安と身体症状は関連していなかった(F(1,17)=1.82,n.s.;F(1,17)=1.10,n.s.)。 調査により肺癌患者の身体活動と抑うつが有意に関連することが示された。この結果から、身体活動は心理的適応を改善する、もしくは心理的適応の改善が身体活動を促進する可能性が示唆された。 なお昨年度と本年度の結果は、8th World Congress of Psycho-Oncologyで発表した。
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Research Products
(2 results)