2005 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の生物・心理・社会的病態モデルの検討とそれに及ぼす認知行動療法の効果
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16730351
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 伸一 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (00326414)
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Keywords | うつ病 / 認知行動療法 / 病態モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、うつ病の生物・心理・社会的病態モデルの構築を試みる(研究目的-1)とともに、うつ病患者を対象とした集団認知行動療法プログラムを開発し,その効果を検討する(研究目的-2)ことである。 本年度は,研究目的-2を達成するために、昨年度実施した研究(研究1、研究2)の成果を総括するとともに、うつ病の認知行動療法に関する文献展望を行い、それらの知見を総合的に踏まえて集団認知行動療法プログラムを開発した(研究3).さらに,開発された集団認知行動療法プログラムを,うつ病患者を対象として実施し、その効果を生物・心理・社会的側面から検討した(研究4).本年度の研究成果の概要は以下の通りである. 研究3により,心理教育(2セッション),気分・感情・思考のセルフモニタリング(3セッション),思考パターンの分析と望ましい思考の検討(3セッション),実生活での練習と再検討(3セッション),再発予防のレクチャーとまとめ(1セッション)からなるプログラムが開発された. 研究4では,うつ病性障害と診断された患者を1グループ5〜6名単位で構成し.メイントレーナー1名,サブトレーナー2名でプログラムを実施した.プログラムを終了した患者15名のうつ症状,心理・社会的機能,非機能的認知について,時期を要因とした多変量分散分析を行った結果,すべての指標についてプログラムの効果が有意であった.各指標ごとに主効果の検討を行ったところ,HAM-D, GAF, SF-36(社会的機能・身体,全体的健康感,活力,こころの健康),ATQ-Rの変化が有意であった. 以上のことから,研究3にて開発された集団認知行動療法プログラムが,うつ病患者のうつ症状,心理・社会的機能,および非機能的認知の改善に有効であることが示唆された.次年度は,症例数を増やすとともに,予後も含めたプログラムの効果を検討する予定である.
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Research Products
(1 results)