2004 Fiscal Year Annual Research Report
全方向パノラマビデオによるエクスポージャーシステムの構築とその実験的・臨床的評価
Project/Area Number |
16730354
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宮野 秀市 宮崎大学, 保健管理センター, 講師 (00339681)
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Keywords | 心理療法 / エクスポージャー / バーチャルリアリティ / 社会恐怖 |
Research Abstract |
平成16年度は,全方向パノラマビデオエクスポージャーシステムを構築し,また,同システムを利用した恐怖症の治療に用いるための恐怖刺激動画を収集,編集した. 1.全方向パノラマビデオエクスポージャーシステムの構築 以下に述べる撮影システムと呈示システムからなるエクスポージャーシステムを構築した.パノラマビデオの撮影は,全方向を一度に撮影するためのミラーレンズとハイビジョンデジタルビデオカメラから構成される.呈示システムはインタラクティブな映像刺激を呈示する頭部搭載型ディスプレイ(HMD)とHMDに装着する位置センサ,音声及び振動刺激を呈示するボディソニック装置,及びパノラマ動画をそれらの装置へ出力するコンピュータから構成される.また,撮影されたドーナツ状のパノラマ動画を画像変換し,位置センサの位置に応じた映像を呈示するためのソフトウェアを開発した.HMD装着者が仮想環境を自由に見回すことができるこのシステムによって,高い臨場感を伴ったバーチャルリアリティ(VR)エクスポージャーを実施することが可能となった. 2.エクスポージャーに用いる恐怖刺激動画の撮影と収集 本研究では,全方向パノラマビデオエクスポージャーシステムの治療効果を検証するための対象疾患を,視線恐怖(社会恐怖症)とした.視線恐怖のクライエントが恐れる社会的な場面(例えば視線を合わせて会話するなど)をパノラマビデオ撮影システムで撮影し,市販の動画編集ソフトを用いて編集した.従来行われてきたVRエクスポージャーでは,恐怖刺激映像をコンピュータグラフィックで作製していたため,恐怖刺激の作製には膨大なコストがかかっていた.しかしながら,本システムによって非常に安価かつ簡便に恐怖刺激を作製することが可能となった.平成17年度は,実際の視線恐怖の治療を通じて,このエクスポージャーシステムの効果を検討する予定である.
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