2005 Fiscal Year Annual Research Report
全方向パノラマビデオによるエクスポージャーシステムの構築とその実験的・臨床的評価
Project/Area Number |
16730354
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宮野 秀市 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00339681)
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Keywords | 心理療法 / エクスポージャー / バーチャルリアリティ / 高所恐怖 / 恐怖症 |
Research Abstract |
1.全方向パノラマビデオエクスポージャーシステムの構築 本研究では,ビデオ映像を利用して全方向のインタラクティブな動画呈示を行うバーチャルリアリティ(VR)エクスポージャーシステムを構築した.本システムは,ミラーレンズを用いて水平方向の全周囲を動画として記録する撮影システムと,頭部搭載型ディスプレイ(HMD)装着者の頭部の向きを位置センサーで連続的に計測し,その向きに応じて全周囲動画を平面に展開して表示する呈示システムから構成される. 本VRエクスポージャーシステムではビデオ映像を呈示するため,コンピュータグラフィックスを呈示する従来のVRエクスポージャーに比べて,よりリアルな映像を簡便に呈示することができる. 2.全方向パノラマビデオエクスポージャーシステムの評価 高所恐怖傾向の高い大学院生1名に対して本システムを用いたVRエクスポージャーを実施し,シングルケーススタディーの手法を用いて評価した. 合計8回のエクスポージャーセッションでは,HMDを装着してリクライニングシートに座った実験参加者に対して,吊り橋を渡るシーンを収録した動画が呈示された.各エクスポージャーセッションでは,およそ5分間の休憩を挟んで,23分間のエクスポージャーが2回実施された各セッションのはじめには,Fear Questionnaire(Marks,1986)とAttitude Toward Heights Questionnaire(Abelson & Curtis,1989)が実施され,各エクスポージャーの直後には,VRで吊り橋を渡ったことに対して,0から10の範囲で自覚的障害単位が測定された. VRエクスポージャーを重ねるごとに自覚的障害単位が低下し,またその他の測度において高所恐怖傾向の低下が認められた.したがって,本VRエクスポージャーが高所恐怖の低減に有効であることが示唆された.
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