2004 Fiscal Year Annual Research Report
心理検査のフィードバックにおける「治療的側面」に関する実証的研究
Project/Area Number |
16730357
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 健介 金沢工業大学, 基礎教育部, 助教授 (90319038)
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Keywords | MMPI / フィードバック / 治療的側面 / 結果の説明 |
Research Abstract |
近年,心理検査の結果を適切にフィードバックすることにより,症状の軽減,被検者の自己理解の促進といった臨床的に意味のある効果が生じることが示されてきている。本研究の目的は,その「治療的側面」についての証拠を示すことである。 心理検査のフィードバックにおける「治療的効果」の基礎資料を得るために,今年度は120名の大学生の研究協力者に対して,新日本版MMPIを用いた結果のフィードバックを行った。実施に当たっては,研究に対する説明を行い,文書で同意が得られた対象者のみが研究に参加した。 結果は,まず「説明の分かりやすさ」,「解釈の妥当性」,「フィードバックに要する時間の長さ」,「カウンセラーに対する信頼感」,「自己理解の促進」,「フィードバックに関する総合評価」の各項目で非常に高い評価を得た。これは心理検査のフィードバックが適切に行われたことを意味している。 また「心理検査に対するイメージ」評定において,フィードバック実施前に比べて,実施後における評定値が向上し,心理検査に対するイメージが肯定的なものになっていることが明らかとなった。 このうち40名の対象者に対し,カウンセラーの有効性尺度として頻繁に利用されている,7段階リッカート尺度からなる改良短縮版CRF(Counselor Rating Form)を用いて,「治療的効果」に関する測定を行った。記入漏れの3名を除いた37名のデータを解析したところ,CRFの2因子すべてで,高い尺度値を示した。 このことは,適切なフィードバックを行うことで,単に結果を伝達する以上の効果、すなわち「治療的な効果」が期待されることを示唆するものである。 今年度得られた結果は関連学会において報告する。さらに今年度から既に十数名の臨床集団に対するデータ収集も行っており,次年度に結果を報告する。
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