2004 Fiscal Year Annual Research Report
他者存在による笑い表情の表出とリラクゼーション効果に関する健康心理学的研究
Project/Area Number |
16730358
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
大森 慈子 仁愛大学, 人間学部, 講師 (90340033)
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Keywords | 他者存在 / 快-不快感情 / 瞬目 / 心拍 / ストレス / リラクゼーション / 表情 / 会話場面 |
Research Abstract |
他者の存在が笑い表情の表出に与える影響と、そのリラクゼーション効果について検討するため、まず本年度は、他者の存在と喚起される感情について主観的評定および生理反応を測定して調べた。表情は他者に感情を伝える重要な機能を持っているが、その表情表出は喚起された感情に支配されている。また、誰かがそばにいることで誘発された感情によって、最終的にストレスの低減とリラクゼーションがもたらされるのかにも着目した。 実験では、快-不快感情喚起刺激を用い、他者がいない条件、同性の友人1人が一緒にいる条件の2条件を設定し、刺激に対する快-不快評定、および生理反応として瞬目と心拍を測定した。刺激に写真刺激を用いた1実験と環境音刺激を用いた1実験を行った。それに先立ち、快-不快刺激呈示に対する主観的感情と生理反応の変化についての基礎的データを収集するため、予備的な1実験も実施した。その結果、他者がいるほうがいないよりも、刺激提示中の心拍率と瞬目率が低かった。他者の存在によって、緊張や不安が緩和され、ストレスの低減とリラクゼーション効果があったことが可能性が示された。特に、視覚刺激提示中の他者がいるときの瞬目は、快刺激の場合により減少した。友達と一緒にいることが快刺激に対する興味や関心を高めたと考えられる。また、主観的評定においては、他者の存在によって、快刺激に対してはポジティブな認知が促進され、不快刺激に対してはネガティブな認知が抑制された。 加えて、他者がともにいる場合の感情および表情の同調について調べるため、二者対面状況での会話中の瞬目行動を分析した。その結果、会話中の対面している二者の瞬目数には正の相関関係があり、さらに発話量との正の相関関係も認められた。表情の一部であり、感情の喚起と関連の深い生理反応である瞬目が、対面している他者の瞬目に同調することが明らかとなった。 以上、他者の有無が喚起される感情や表情の一部に影響を与えることが示された。これらを足がかりとして、次年度から、特に笑い表情の表出に限定し、さらに他者存在によるストレスの低減やリラクゼーション効果に着目していく。
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Research Products
(1 results)