2005 Fiscal Year Annual Research Report
他者存在による笑い表情の表出とリラクゼーション効果に関する健康心理学的研究
Project/Area Number |
16730358
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
大森 慈子 仁愛大学, 人間学部, 助教授 (90340033)
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Keywords | 他者存在 / 表情 / ストレス / リラックス感 / 感情 / 写真 / 笑顔 / 面白さ |
Research Abstract |
他者の存在が笑い表情の表出に与える影響と、そのリラクゼーション効果について検討するため、他者の存在の有無による笑い表情の表出と喚起される感情の違いについて、主観的評定および表情を測定して調べた。実験では、お笑いタレントが登場するコントを編集した映像刺激を用い、他者がいない条件、同性の友人1人が一緒にいる条件の2条件を設定し、映像に対する面白さの評定、および映像視聴中の表情をビデオ記録して分析した。その結果、1人よりも2人で見たときのほうが映像は面白いと評定され、笑い表情の表出回数も多かった。他者の存在によって、ポジティブな感情が喚起されて表情も豊かになり、ストレスが低減する可能性が示された。 また、表情写真が笑い表情の表出に与える影響について調べるため、表情写真呈示中の観察者の表情筋筋電図を記録した。その結果、笑顔の写真を見ている時には、他の表情写真を見ている時に比べて大頬骨筋の反応が大きく、写真の表情と同調的な表情が見られた。人の笑顔を見ていると緊張や不安が緩和され、最も笑顔になりやすいことが示唆された。 さらに、写真に対するリラックス感と感情の関係についての基礎的データを収集するため、予備的な実験も実施したところ、快であると同時に覚醒度の低い写真のほうがよりリラックスすると評定された。特に、湖やボートなど水辺の写真についてリラックスできると感じた人が多く、視覚的には自然景観を見ることがリラックス感を得る1つの手段になっていることが明らかになった。 加えて、仮想的な他者の存在として、アバターを用いたチャット時の対人行動を分析した。異性とのチャット中にパソコン画面に呈示されたCGで作成されたアバターに対して、笑い表情の表出回数、注視回数、注視時間の増加が認められた。 以上、他者の存在の有無やその表情が喚起されるポジティブな感情や笑い表情に影響を与えることが示された。最終年度では、存在している他者の表情によるリラクゼーション効果について、さらに検討を深める。
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Research Products
(1 results)