2004 Fiscal Year Annual Research Report
注意,短期記憶等の高次知覚系における視覚・触覚間クロスモーダルリンクに関する研究
Project/Area Number |
16730366
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 裕一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 講師 (80312635)
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Keywords | クロスモーダル知覚 / クロスモーダル注意 / 感覚様相間相互作用 / 触知覚 / 触角刺激 / attentional blink / task switching / パターン知覚 |
Research Abstract |
本研究は、高次知覚系の処理を反映する現象の一つとされる"注意の瞬き(Attentional Blink:AB)"と呼ばれる現象に着目し、これが視覚・触覚間のクロスモーダル刺激提示事態においても生起するか否かについて検討した。ABとは、時間的に近接して提示される2つの刺激の同定において、後続の刺激が時限的に処理不全となる現象であり、刺激の同定から短期記憶への固定化までの処理段階に容量限界が存在するために後続の刺激の処理が間に合わなくなることで生じるものと考えられている。先行研究から、位置弁別課題では視覚・触覚間のクロスモーダルABが生起することが報告されているが、非空間的属性の弁別課題においてもクロスモーダルABが生じるか否かについては明らかにされていない。また、先行研究でみられたクロスモーダルABは、先行する刺激(以下S1)に対する反応課題と後続の刺激(以下S2)に対する反応課題の種類が異なるといったタスク切り替えのコストに起因する干渉効果を反映したものであり、クロスモーダル事態ではタスク切り替えが伴わないとABが生じないとする主張もみられ、現在も論争が続いている。本研究では、非空間的属性の弁別課題を用いて、視覚・触覚間のクロスモーダルABの生起に関して検討した。刺激として2種類の大きさを持つアルファベット文字型のパタン刺激を用い、S1を視覚(もしくは触覚)、S2を触覚(もしくは視覚)で提示した(two-target paradigm)。S1とS2それぞれに対する反応課題を操作することで、タスクの切り替えの影響を検討した。実験の結果、非空間的属性の弁別課題においても視覚・触覚間のクロスモーダルABが生起するが、S1とS2にいずれのモダリティが割り当てられるかによってABの生起の有無に非対称性がみられる一方、タスク切り替えの有無には依存しないことが明らかになった。
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