2004 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧ラットSHRにおける循環器系活動と情動行動との機能的連関
Project/Area Number |
16730376
|
Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 俊彦 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助教授 (20322612)
|
Keywords | SHR / オープン・フィールド / 驚愕反応 / 高架式十字迷路 / ラット / 情動 / 血圧水準 / 照明条件 |
Research Abstract |
今年度は、次年度以後の基礎資料となるだけでなく、高血圧ラットSHRの行動的な特質の解明に直接に役立つ資料を得るため、SHRの行動が照明条件によって、どのように変化するかを調べる実験を行った。ラットに対する光の照射は、嫌悪刺激として作用することが多く、オープン・フィールドのような広場型の活動測定場面においては、活動量が減少することが多いとされる。これに対して、SHRの行動を調べた先行研究によれば、強い照明の条件下であっても、その活動量に顕著な減少を認めなかったという。この指摘は、SHRの情動的な性質を理解する上で重要であり、その情動興奮性が低いことを示しているのかもしれない。しかしながら、嫌悪刺激を提示した場合の動物の反応として、凍結反応の出現により活動が抑制されると推定できる一方、興奮性が非常に高まった場合には、逃避的な行動が多く現われて、活動量が増加する可能性も否定できない。 そこで本研究では、一般に照明によって行動量が減少する2種類の実験場面、すなわちオープン・フィールドおよび高架式十字迷路と合わせて、照明により行動強度が増加する場面、つまり光照射による驚愕反応の増強事態(light-enhanced startle)でのSHRの行動を調べた。統制群は健常血圧のWKYであった。このデータ収集は3月までにほぼ完了し、現在はデータ処理を行っている。今年度は、諸般の事情により科研費の交付が遅れ、実験の開始も遅れた。この遅れを取り返すべく努力している。これまでにデータ処理の完了した範囲で記せば、光照射による驚愕反応の増強はあまり顕著ではなく、SHRは、光刺激提示に対する情動興奮性は比較的低いと推定している。 また、上記の実験と合わせて、血圧降下薬ヒドララジン投与による血圧低下が、高架式十字迷路での行動に及ぼす影響を調べている。これは現在実験を継続中であり、間もなく完了する予定である。
|
Research Products
(6 results)