2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハンブルク中等学校改革運動における教育思想と実践に関する研究
Project/Area Number |
16730389
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
小林 万里子 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (90325134)
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Keywords | ドイツ / 改革教育運動 / ペーターゼン / リヒトヴァルク校 |
Research Abstract |
リヒトヴァルク校における教育思想を重点的に解明するとともに、ドイツを中心とする改革教育運動研究のレビューをおこなった。本年度の研究実績は以下の三点にまとめられる。 1.リヒトヴァルク校の教育理念・教育思想の解明 リヒトヴァルク校の教師たちは、(1)文化科や現代外国語の授業を通じて生徒たちの現代社会への批判的観点を養い、ドイツ上構学校としての特色づくりに尽力したこと、(2)ハンブルク改革教育運動で醸成された基本的理念(教師・生徒・保護者による民主的な学校運営、共同体学校など)を掲げ、他学校種の教師たちとの協働しながら教育課題の解決を志向したこと、(3)一方で、例えば学級集団の意義について、ペーターゼンと他の教師たちの間では考え方に相違があったこと、などが明らかになった。この成果については学会で発表するとともに、論文にまとめる予定である。 2.ハンブルク学校改革運動の社会的・制度的背景 本研究を進める際、19-20世紀転換期の教員をとりまく社会的状況を考察の視界に入れることが有効である。そこで、公立学校(中等教育学校および初等教育学校)制度や教員養成制度、また、教師たちをめぐる当時の社会的・制度的背景に関する調査・論究をおこなった。(投稿準備中) 3.ドイツ改革教育運動に関する先行研究のレビュー 新教育運動の位置規定をめぐる1980年代以降の研究成果をふまえ、近年ドイツでは、具体的事例に焦点化した詳細な研究がおこなわれている。また、教員養成や教職の専門性に関する歴史研究も進んでいることが明らかになった。
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