2004 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園児の関係構築過程-遊びの創造過程における相互影響関係の分析を通して-
Project/Area Number |
16730397
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Research Institution | Minatogawa College |
Principal Investigator |
柏 まり 湊川短期大学, 幼児教育保育学科, 講師 (30373145)
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Keywords | 人とかかわる力 / 遊び / 創造過程 / 指導 / 影響関係 / 社会的スキル / 教師の役割 / 幼児の自発性 |
Research Abstract |
本研究は、「人とかかわる力」の基盤となる幼児の社会的スキルの修得過程について検証を行い、「教師主導」か「幼児主体」か、といった幼児教育における2極化された指導スタンスから脱却し、新たな指導の観点の確立を試みることを目的とする。本研究は、第1に、幼稚園教育における領域「人間関係上の研究動向についての把握を試みた。調査結果から、(1)共同作業の実施、(2)トラブル場面における解決策の検討、(3)視聴覚教材等を用いてのスキル教育、の3つの傾向が把握された。保育現場の取り組みの実態から、(1)計画的指導、(2)社会的スキルの多様性、(3)幼児の自発性といった課題が把握された。研究動向の調査から、幼児における社会的スキルの修得場面として、幼児が生活を通して体得することが可能となる「遊び」の有意性について明らかにした。第2に、幼児の社会的スキルの修得過程を明らかにする手がかりとして、遊びの創造過程における教師と幼児の関係性についての把握を試みた。遊びの創造過程における幼児と教師の関係性のタイプとして、(1)リーダー的幼児中心型、(2)教師主導型、教師と幼児の相互影響型、の3つの関係性が把握された。幼児の遊び場面における教師の役割として、(1)指導、(2)受容、という2つの観点が把握された。本研究を通して、幼児の遊びが、教師の指導と受容といった働きかけによって支えられ、創造的な活動へと展開することが可能となることが明らかとなった。こうした教師と幼児の影響関係により生成される、「場」「状況」「情況」といった生活の拡がりを視座とした「遊びの創造過程における仮説モデル」が構築された。
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