2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730409
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 理絵 山口大学, 教育学部, 講師 (80335778)
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Keywords | 社会化過程 / 家族崩壊 / 子ども / スティグマ |
Research Abstract |
本研究の目的は、家族崩壊後の子どもの類似する社会化パターンを社会学的実証研究において解明することである。そのため、研究初年度である本年度は以下の調査研究を行った。 1.実証的研究:家族崩壊経験者への面接調査、参与観察の実施 調査研究1.面接調査による生活史調査:子ども期に家族崩壊を経験した成人と、現在子ども期にあって家族崩壊を経験している者を対象に面接調査を行った。面接調査は、当事者および福祉施設職員と事前に打ちあわせを行い、相手の生育歴等を把握した後にインタビューを実施しても差し障りがないと判断ができ、かつ相手の同意を得られた者を対象とした。テープに録音した生活史データは、アルバイトを頼んでテープ起こし・文章化を行い、現在、その分析に着手している。 調査研究2.参与観察による実態調査:児童相談所および児童養護施設において参与観察を実施し、(1)家族崩壊後の子どもの日常生活の実態、(2)子どもの経験してきた家族崩壊の様態、(3)日常生活で遭遇する困難や悩みについて記録した(平均3回/月のペースで参与観察を実施)。また、中学校、高等学校へも訪問し、担任教員や進路指導教員と面談を行い、子ども達の社会的困難場面の把握に努めた。 II.理論的研究:実証的研究の分析と並行して、家族崩壊後の子どもの社会化過程を解明するための理論研究を行った。その際、社会学のみならず、人類学・心理学・精神医学・教育学等の文献・論文も参考にした。特に、本年度はスティグマ論に焦点を当てて、実証研究で得たデータの分析・考察を行っており、現在、論文にまとめているところである。その途中成果は、日本教育社会学会第56回大会・課題研究において「家族崩壊・児童虐待の研究方法」に関する知見として発表した(於:東北大学、平成16年9月)。
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