2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730410
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手 弘人 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 講師 (70324374)
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Keywords | 韓国 / 歴史教育 / 多様化 / 北朝鮮 / 朝鮮半島問題 / 比較教育学 / 市民的資質 |
Research Abstract |
日本・韓国・欧米の学会誌及び教育実践情報雑誌を中心に、歴史教育の多様化を分析するためのフレームワークについて先行研究調査、現場で活用されている教材等の調査を推進した。その結果、冷戦構造の終結によって市民的資質の基底概念を支えてきた政治的背景も多様化し、多様なアイデンティティに支えられた「市民的資質」が多様な原理によって現れてきた。 韓国における歴史教育の多様化も、これまでの一義的な「反共」「自由主義」イデオロギーへの問い直しからはじまり、抑圧・非合法とされてきた教員労働組合(全教組)が国定史観による歴史教育の再検討を行いはじめたことが契機となっている。その中で朝鮮半島問題も、これまで「傀儡」と規定された北朝鮮が本当に「傀儡性」のみで存在してきたのかという問い直しの活動によって、国定史観を相対化しはじめたものであった。したがって、北朝鮮問題はできるだけ多面的な事例を主体にして見るような記述になり、その結果、国定教科書に比べて、記述量から見てもかなり差があり、かつ記述の観点も政治史のみならず、社会史の視点が強く出ている。
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