2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730410
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井手 弘人 長崎大学, 大学教育機能開発センター, 助教授 (70324374)
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Keywords | 韓国 / 歴史教育 / 多様化 / 北朝鮮 / 朝鮮半島問題 / 比較教育学 / 市民的資質 |
Research Abstract |
今年度は昨年度実施した文献調査や教科書記述の変遷調査をもとに、日本の歴史教育をとりまく環境と韓国のそれとを比較分析したうえで、国内を中心にした歴史教育事例の参与観察による情報収集活動と研究会等での研究発表及び仮説提示の活動を通じて様々な観点から意見をもらい、共通点・相違点を明確化することに主眼を置いた。 その結果、以下の点が明らかになりつつある。 (1)情報化社会・知識基盤社会への移行によって、歴史観もまた「知識」の一つとして日韓双方が多様化していること (2)歴史観についても、多様な知識獲得の手段としてコンピュータが利用されており、ここでの情報が若い世代の歴史観の相対化に大きく寄与していること (3)知識の市場化によって、歴史観も市場が「選択」する時代に移行しつつあること (4)その環境下で、歴史観への国家介入が変数的要素として関わってくることもあり、現代が国家の社会化装置としての歴史観と情報選択によって構築される新しい多様な歴史観とが混在している世界であること (5)歴史観への国家介入に対し、韓国では特に若い世代が拒否する形で、新しい歴史観(相対化を目指す史観)を構築しつつあること この2年間の成果をもとに3年目は様々な韓国の学校現場に入り、エスノメソドロジー的手法を用いて新しい歴史観(=情報の選択・構築主義による歴史観)に依拠し、朝鮮半島問題に対する学生の社会化過程を観察し、帰納的に韓国歴史教育の多様化についてまとめていくこととする。
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