2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730427
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中村 和世 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (20363004)
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Keywords | ジョン・デューイ / デューイ実験学校 / 美術教育 / カリキュラム開発 / 初等教育 / プラグマティズム / 美術教育史 / 美術教育思想 |
Research Abstract |
1898年10月から1901年6月までのデューイ実験学校における芸術教育のカリキュラム開発についてリリアン・クッシュマン教諭の実践を中心に明らかにした。研究では、デューイによる実験学校に関する論文のほか、実験学校に携わった教師達による実践記録を主要文献として活用した。それらには、シカゴ大学リゲインシュタイン図書館に保存されている1896年から1899年までの記録が掲載されている『シカゴ大学記録(University Record)』、1898年から1901年までの記録である未刊の『実験学校活動報告書(Laboratory School Work Reports)』、1900年の実践をまとめている『小学校記録(Elementary School Record)』が含まれる。実験学校における芸術教育の特徴は、学校内外の子どもの生活の統一を図ることを目指すオキュペーションという活動に絡めながら芸術教育が行われていたことにある。実験学校では、芸術教育は、学習課程を通して成長している精神を表現する場であるという独自の役割を担っており、この役割を果すために以下の視点からカリキュラムが編成されている。第1は、学校内外における子ども自身の経験のイメージ化を行うことである。第2は、専門的技術の習得である。第3は、実物の観察に基づくイメージの発展を表現とともに鑑賞において求めたことである。クッシュマン教諭による実践が、子ども一人ひとりの精神の独自性を尊重するデューイの教育論に反して、正確な実物描写を基にイメージ化することにとどまる傾向があり、表現の多様性に欠ける内容であった事実を明らかにした。
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