2004 Fiscal Year Annual Research Report
数学的問題解決における数学的意味づけ・現実的意味づけに関する研究
Project/Area Number |
16730428
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (50284451)
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Keywords | 数学教育 / 算数科教育 / 問題解決 / 意味づけ |
Research Abstract |
これまでの問題解決研究では,Krulikに代表されるように,問題解決過程を「現実世界の問題を数学の世界の問題に変換し,数学的解答を見いだし,現実世界でその解答を解釈する」と捉えることが一般的であった。こうした問題解決過程では,現実世界の問題を「数学的に」意味づけたり,数学的な結果を「現実的に」意味づけたりすることになる。このように,「意味づけ」を「数学的」,「現実的」というように「対置させて」検討することはこれまで十分にはなされておらず,実際の算数の授業においても,各々の意味づけの役割の認識不足に起因する指導上の問題点が散見される。また,例えばVerschaffelらの研究などによって、児童・生徒の「現実的な意味づけ」の能力が十分に育成されていないという指摘もなされている。 こうしたことを背景として,本研究では,小学校段階の問題解決における「数学的意味づけ」と「現実的意味づけ」を対置させてその役割や指導方法について検討しようというものである。 本年度の研究では,問題解決における意味づけについての理論的検討を行った。その結果,スケンプ(1973),岡田(1990),中原(1995)などの見解を手がかりとして,「数学的意味づけ」を「問題解決の手がかりや根拠を数や図形の世界の事実に求めること」,「現実的意味づけ」を「問題解決の手がかりや根拠を(量などの)現実世界の事実や半具体物などの操作,図などに求めること」と規定した。
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