2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 健一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (50292496)
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Keywords | Chow群 / 有限性 / 代数的K群 / 代数対応 |
Research Abstract |
本年度の一つの成果はChow群の有限性についてのものである。有理数体上の非特異射影的代数多様体Xと整数r【greater than or equal】0に対し、Chow群CH^r(X)はXの余次元rの代数的サイクルの群を有理同値という同値関係で割った群である。CH^r(X)は有限生成アーベル群であることが予想されている(Bass conjecture)。rが0または1の時はこれは正しい。r=2の場合にCH^r(X)のtorsion partの有限性を示す事を考えた。Chow群の有限性について、1994年までの主な結果はColliot-Thelene-RaskindとSalbergerによるもので、H^2(X,O_X)=0の時に代数体k上の非特異射影的代数多様体XのCH^2(X)のtorsion部分は有限であるというものである。 H^2(X,Ox)≠0の時は問題が難しくなる。Langer-Saitoは、XがQ上のモジュラー楕円曲線Eの積E×Eである時、任意の係数p〓6N_Eに対しCH^2(X)のp冪torsion部分が有限であることを示した。ただしN_EはEのconductorである。今回はXが有理数体上のより種数の高いモジュラー曲線の積である時、XのK群がらXが良い還元を持つ素数全体に渡るXの還元のピカール群の直和へのある写像の像がかなり大きい事を示した。これはX Chow群の有限性を示す為の重要なステップである。 本年度のもう一つの成果は、代数的サイクルに関するTate予想の検証例を構成した事である。二つの代数多様体が同じL関数を持つ場合、それらの間には代数対応が存在する事が予想される。一般には代数対応を構成する事は容易でなく、今までに構成された具体例の数は多くない。今回はある3次元カラビーヤウ多様体と楕円曲線の積の間に代数対応を具体的に構成した。 今年度得られた成果は、11月の広島での研究集会と12月の京都での研究集会において発表した。9月にオランダのLeiden大学であった代数的サイクルの研究集会に参加した。また代数幾何と整数論関係の書籍を数冊購入した。
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