2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 健一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (50292496)
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Keywords | Chow群 |
Research Abstract |
Chow群に関するMurreの予想の研究を行った。主な成果は、代数曲面の積に対するこの予想の一部の新しい証明を与えた事と、特別な場合にこの予想の根拠となる結果を出したことである。バンフでの研究集会「regulator II」でこの成果を発表した。 また高次Chow群について次の研究を行った。高次Chow群は、代数的サイクルからなるある複体のホモロジー群として定義され、代数的$K$群のある部分空間に同型であることが知られている。また、Voevodskyのmotivic cohomologyと同型である。高次Chow群には、decomposable partと言う比較的わかり易い部分群があり、そこに入らない元は分解不能(indecomposable)とよばれる。 分解不能な元の構成は、ここ数年活発に研究されている話題である。得られた結果は、Beilinson予想とTate予想により存在が期待される高次Chow群の元を構成したことである。また、射影的代数多様体$X$の高次Chow群$CH^2(X,1)$の分解不能元が与えられたとき、基礎体の超越次数を上げることでそれから$CH^3(X,2)$の分解不能元を構成できる事を示したことである。この結果は更に高次の場合に拡張できるものと思われる。 また、代数的サイクルに関するTate予想の検証例を与えた。Tate予想は、エタールコホモロジーの、Galois群が自明に作用する部分空間は代数的サイクルのクラスで生成されるという予想である。ここではある3次元のカラビ-ヤウ多様体ある楕円曲線の積との代数対応を具体的に与えた。
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