2005 Fiscal Year Annual Research Report
アフィン量子群の有限次元表現,及び,その結晶基底に関する研究
Project/Area Number |
16740004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐垣 大輔 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (40344866)
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Keywords | 量子アフィン代数 / 結晶基底 / パス模型 / Kirillov-Reshetikhin加群 |
Research Abstract |
レベル1のKirillov-Reshetikhin加群(以下,KR加群)は,柏原正樹氏(京大数理研・教授)によって導入されたレベル0基本表現と(次数作用素抜きの量子アフィン代数Uq'の加群として)同型であろうと考えられている。このレベル0基本表現は結晶基底を持ち、さらに、私と内藤聡氏(筑波大・助教授)との共同研究により、その結晶基底はレベル0基本ウエイトを型とするLakshmibai-Seshadriパス全体のなすパス模型をUq'の結晶とみなしたものと同型であることが示されている。この事実に注目して、今年度は、(基本ウエイトとは限らない)レベル0ウエイトを型とするLakshmibai-Seshadriパス全体のなすパス模型の研究を行い、以下の結果を得た。なお、これらは内藤聡氏との共同研究である。 (1)一般のレベル0ウエイトλを型とするLakshmibai-Seshadriパス全体のなすパス模型B(λ)の各連結成分が互いにほぼ同型であることを示した。さらに、その連結成分がどのくらい多く存在するかを決定した。これによってB(λ)の結晶としての構造が完全に決定されたことになる。 (2)λをレベル0の優整ウエイトとし、パス模型B(λ)をUq'の結晶とみなしたものをB(λ)clと書くことにする。我々は、まず、(1)の研究で得られた結果を用いて、B(λ)clの上に新たに"次数(degree)"を定義した。一方でB(λ)clには、尾角正人氏(阪大・助教授)らの手法により、エネルギー関数とよばれる関数が定義されるが、このエネルギー関数と我々の次数が一致することを示した(すなわち、エネルギー関数のパス模型を用いた新たな解釈が得られた)。この結果の応用として、1次元和(1dsum)のパス模型を用いた表示、さらにその特別な場合として、Kostka-Foulkes多項式のパス模型を用いた表示を得ることが出来た。
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