2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユニタリ群上の保型形式の数論的研究:分岐理論と大域的応用
Project/Area Number |
16740016
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石川 佳弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50294400)
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Keywords | 保型形式 / フーリエ・ヤコビ展開 / ホイタッカー模型 / 保型L-関数 |
Research Abstract |
1.保型形式の数論的性質を調べる上で、フーリエ展開は基本的かつ重要である。本研究の目的は、ユニタリ群U(n,1)上の保型形式のフーリエ成分を表現論的手法を使って調べることである。即ち、調べるべき保型形式が生成する表現のホイタッカー模型の研究である。数論的性質の研究には、精緻な局所理論の研究が不可欠であるが、これは無限素点上の局所理論と有限分岐素点上のそれに分けられる。前者即ち、実Lie群U(2,1)の一般化ホイタッカー関数の明示公式及び一意性定理は、既に筆者により得られていた。本年度の研究計画は、 (A)p-進アナログの構成、及び分岐の考察 (B)上記の数論への自然な応用 であった。 2.(A)については、準分裂p-進群U(3)の任意のgeneric表現に対して、ゼータ積分を計算し、標準L-関数の分岐局所因子を得た。 (B)については、織田・古関両氏が10年前に行った研究を再検討・深化させることで、無限局所γ-因子、及びその局所関数等式を得、(A)と併せて標準L-関数の大域関数等式を示した。 これらの結果は、2004年12月ウィーン大学、2005年1月数理解析研究所に於いて、発表された。 3.将来に残された課題として、"分岐の導手"の研究がある。今回(A)に於いて、p-進ホイタッカー関数の明示公式を経由せず、その漸近挙動による方法で分岐局所因子を計算した為、当初の目論見であった"new vector"と局所ε-因子の関係の研究が残された。また、Eisenstein級数の研究については、来年度への繰越とする。
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