2005 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元群のゼータ関数と,付随する圏のラプラシアンのスペクトルの研究
Project/Area Number |
16740021
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木本 一史 琉球大学, 理学部, 助手 (10372806)
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Keywords | ヴァンデルモンド型行列式 / 既約分解 / 相対不変式 |
Research Abstract |
本研究課題における中心的な対象は圏に対して定義される圏のラプラシアンと呼んでいる行列であり,またその固有値である.さて,有限アーベル群のなす圏Abに対する圏のラプラシアンの行列式を考えると,いわゆるヴァンデルモンド型行列式(およびその拡張とみなせるもの)で与えられた.また,Schurの対称関数はヴァンデルモンド型の行列式の比として定義されるが,この事実を用いることで有限体F_q上の線形空間がなす圏Mod(F_q)のラプラシアンについてそのスペクトルゼータ関数の存在が示された.このように,可換な対象を持つ圏におけるラプラシアンとヴァンデルモンド型の行列式は,しばしば密接に関連している.本年度は,このヴァンデルモンド型の行列式の一般化ないし類似に相当するものについて,その表現論的な側面を研究した(九州大学の若山正人との共同研究).より具体的には,おおよそ次の通り:(1)量子行列環において量子行列式の1-パラメタ変型を考え,量子包絡環の作用によってそれが生成する巡回加群の構造がどのようなパラメタで退化するかについて調べた.古典的な場合の結果の類似が得られた一方,量子群版に固有の現象が数多く観察される.(2)行列式の一般化・類似として,対称群のwreath積の(行や列の入れ替えによる)作用に関して相対不変なものを定義し,研究した.ヴァンデルモンド型の行列式の変型からは,それらの比による対称関数の表示が得られるほか,対称群のwreath積とそれを含む大きな対称群との組に関する球関数といった興味深い対象が現れる.これらの結果をまとめたものは,現在,推敲の最終段階にある.
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