2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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Keywords | 解析的トーション / クイレン計量 / カラビ・ヤウ多様体 / K3曲面 / 判別式 |
Research Abstract |
3次元カラビ・ヤウ多様体の解析的トーションの研究(Z.Lu氏とH.Fang氏との共同研究): 物理学者バシャドスキー・チェコッティ・大栗・バッファにより導入された解析的トーションの適当な組み合せを用いて、3次元カラビ・ヤウ多様体の不変量(BCOVトーション)を構成した。さらに、通常2重点を持つ平滑化可能なカラビ・ヤウ多様体の倉西空間においてBCOVトーションがみたす微分方程式を決定し、カラビ・ヤウ多様体の一般の1次元退化族に対してBCOVトーションの特異性が代数的であることを示した。これらの結果の応用として、5次超曲面カラビ・ヤウ多様体のミラーカラビ・ヤウ多様体のBCOVトーションを決定することができた。このようにして、ミラー対称性の帰結としてバシャドスキー・チェコッティ・大栗・バッファが予想したミラー5次超曲面のBCOVトーションの公式を厳密に証明することができた。 クイレン計量の退化に関する研究: ケーラー多様体の任意の1次元退化族とその上のベクトル束に対して、コホモロジーの行列式上のクイレン計量の退化を決定することができた。さらにクイレン計量がパラメーターに関して漸近展開を持つ事の証明も与えると同時に、その定数項を種々の2次特性類を用いて記述した。以上の結果は、ビスミュートと研究代表者によって知られていた結果の一般の退化への拡張を与える。また、上記BCOVトーションの退化の研究においても重要な役割を果たす。 実K3曲面のラプラシアンの同変行列式の研究: 実点を持たない実K3曲面のリッチ平坦ケーラー計量に関するラプラシアンの同変行列式が、ボルチャーズのΦ関数を用いて記述されることを示した。ただし、代数幾何の意味での周期ではなく、シンプレクティク幾何学の意味でのK3曲面の周期においてΦ関数の値を考える。
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Research Products
(4 results)