2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16740030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 謙一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20242810)
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Keywords | 解析的トーション / Calabi-Yau多様体 / ミラー対称性 / 保型形式 / 一般Kac-Moody代数 / 無限積 |
Research Abstract |
(1)物理学者Bershadsky-Cecotti-Ooguri-Vafaにより導入された解析的トーションの適当な組み合わせを用いて,我々は3次元Calabi-Yau多様体の不変量(BCOV不変量)を構成した.さらに,高々通常二重点を持つ平滑化可能なCalabi-Yau多様体の倉西空間においてBCOV不変量がみたす微分方程式を決定し,Calabi-Yau多様体の一般の一次元退化族に対してBCOV不変量の特異性が代数的であることを示した.以上の結果の応用として,ミラー5次超曲面Calabi-Yau多様体のBCOV不変量を決定することができた.このようにして,ミラー対称性の帰結としてBershadsky-Cecotti-Ooguri-Vafaが予想したミラー5次超曲面Calabi-Yau多様体のBCOV不変量の明示公式を厳密に証明することができた.以上は,Hao Fang, Zhiqin Luの両氏との共同研究で得られた. (2)物理学者Harvey-Mooreは弦理論の双対性として,ある種のCalabi-Yau多様体のBCOV不変量が一般Kac-Moody代数の分母関数のノルムとして与えられることを予想した.我々はBorcea-Voisinにより研究されたCalabi-Yau多様体のある族に対して,Harvey-Mooreの予想が正しいことを示した.特に,その場合の一般Kac-Moody代数の分母関数はBorcherds型の無限積展開を持つIV型領域上の保型形式として与えられる.一般Kac-Moody代数は保型形式の尖点におけるFourier展開に対応して定まるが,我々の構成の副産物として,同一の保型形式が異なる一般Kac-Moody代数を与える例を幾つか構成した。
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Research Products
(3 results)