2004 Fiscal Year Annual Research Report
漸近解析的手法による反応拡散系の縮約とその数学的正当化
Project/Area Number |
16740046
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (40293120)
|
Keywords | 反応拡散方程式系 / 縮約 / 界面方程式 / 進行フロント波 / 比較定理 |
Research Abstract |
さまざまな自然現象の数理モデルとして提案されている反応拡散方程式系に現れる複雑なダイナミクスを解明するために、従来の特異極限法では考慮の対象外だった解の漸近展開の高次の項を利用して、界面方程式の導出を数学的に正当化し、界面方程式の解の漸近挙動を解析した。以下、研究成果を具体的に述べる。 無限に長い管状領域において双安定型の非線形項をもつ反応拡散方程式には、形を変えずに一定速度で伝播する進行フロント波とよばれる解が存在することが知られている。領域の境界が空間周期的な構造をもつ場合には、一定波形・一定速度で伝播するフロント波は存在し得ないが、時間周期的な波形および速度をもつフロント波の存在が知られており、数値シミュレーションと形式的解析により、そのフロント波の平均伝播速度が一様な場合よりも遅くなることが示唆されていた。この問題に対し、まず管状領域が非常に細いと仮定して1次元問題へのリダクションを行い、さらに方程式に含まれる微小パラメータを0にする特異極限をとることで、フロントの位置が満たす常微分方程式への縮約を行った。その常微分方程式の解析を行うことで、フロント波の平均伝播速度が一様な場合よりも遅くなることが形式的に確かめられる。そこで、解の漸近展開の最初の3項を正確に求め、その情報を利用して適切な比較関数(優解・劣解)を構成することで、常微分方程式への縮約を数学的に正当化し、1次元問題のフロント波の平均伝播速度が一様な場合よりも真に遅くなることを証明した。さらに、1次元問題の比較関数を利用して、もとの高次元問題の比較関数を構成し、管状領域が非常に細い場合には進行フロント波の平均伝播速度が一様な場合よりも遅くなることを示した。結果はプレプリントにまとめており、現在投稿準備中である。
|
Research Products
(2 results)