Research Abstract |
自己相互作用粒子系への保存的上流有限要素スキームの開発と解析のために,下記の研究を行い,成果を得た.これで,目的に対しての準備がほぼできたと言って良い. ・線形放物型方程式とその区分的一次要素による集中質量型の半離散有限要素近似(空間変数のみを離散化)を考え,初期値aをL^2からとり,放物型方程式,半離散有限要素方程式の解をそれぞれu(t),u_h(t)としたとき最適誤差評価‖u(t)-u_h(t)‖【less than or equal】Ch^2t^<-1>‖a‖が成り立つことを証明した.ただし,‖・‖はL^2ノルム,hは離散化のパラメータである.また,H^1ノルムでの誤差評価も導出した.証明の方法はH.P.Helfrichのreal methodの応用であるが,放物型方程式の平滑化作用(あるいは正則半群の解析性)を十分に活用した点に独自の工夫がある. ・非線形問題の数値計算の際,時間離散化幅を何らかのアルゴリズムに従って制御することで,解の性質を離散的にも再現する手法が良く用いられる.しかし,常微分方程式とは異なり,偏微分方程式の時間離散化に対する誤差・安定性解析は,離散化幅が一定のときに話を限っているものが多く,非一様な時間離散化幅に対する研究は案外少ない.この研究では,線形放物型方程式に対して一般的な時間離散化スキーム(解析半群の有理関数近似)を考え,離散化幅に全く仮定をおかない場合,どのような誤差評価や,安定性が得られるかを考察した.実際,初期値が滑らかでない場合には,非一様性の影響を強く受けることが明らかになった.
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