2004 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタルグラフでのパーコレーション相転移現象の研究
Project/Area Number |
16740054
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
篠田 正人 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (50271044)
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Keywords | パーコレーション / 相転移現象 / 確率モデル / フラクタル / 臨界確率 |
Research Abstract |
研究計画に従い、主に自己相似性を持つフラクタル格子におけるパーコレーション(浸透過程)の研究を行った。特に、従前に一部の結果を得ていた、浸透する方向に制限のある(上・右のみに浸透する)場合と制限のない場合の違いについて検討を深め、どのような場合に相転移現象の消滅が起こるかを調べた。その成果として、消滅するための必要条件として従来よりも明確な形でのものを得た。さらに、方向に制限のあるする場合とない場合の中間のモデル(上・右・下に浸透する)を導入して調べた。その結果、制限のある場合と同様に相転移の消滅が起こるという結果を得た。 また、今年度にはフラクタル格子を含むいくつかのパーコレーションモデルにおける相転移点(臨界確率、閾値)の上下からの評価を試みた。厳密な値を求めるのは困難であるが、ある停止時間を導入する方法によっていくつかのモデルに対する評価値を得ることが出来た。その1つとして、シエルピンスキーカーペットにおける臨界確率は3/4よりも小さいことがわかった。この方法を更に進めることでさらによい評価値が得られると考えられ、次年度以降にも試みることとしたい。 今年度中の論文公表はなかったが、フラクタル格子に関する上記の成果、および研究を進める上で得た現在のこの分野の世界の流れについて得た専門的知識について数回の講演を行った。実施計画に従い、次年度以降はフラクタル格子だけでなく一般のグラフについて研究を拡げ、成果を公表していく。
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