2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740058
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
上村 稔大 兵庫県立大学, 経営学部, 助教授 (30285332)
|
Keywords | 飛躍型対称マルコフ過程 / 保存性 / デリィクレ形式の生成作用素 / 正則デリィクレ形式 / 脱出時間 |
Research Abstract |
飛躍を持つ対称マルコフ過程の構成手段としてデリィクレ形式論を用いて行っているのであるが,デリィクレ形式には,生成作用素と呼ばれる,所謂L^2空間上の非負自己共役作用素が一意に対応する.しかしながら,一般には生成作用素を具体的に表示することは困難である.今年度は,ドイツのMarburg大学教授R.L Schilling氏と共に,極めて一般的な条件の下で,表題の確率過程に対応するデリィクレ形式に対して,その生成作用素を具体的に表示することに成功した.これにより,標本路の基本的性質の一つである保存性についても充分一般的な条件の下でもその性質を持つことがわかった. また,確率過程を構成している一つ一つの確率変数の取る値の集合(通常,これを状態空間という)が,正則でないような"irregular set"の場合において,特に対称安定型過程と呼ばれる飛躍をもつ対称マルコフ過程の標本に対するいくつかの基本的性質についてもいくつ得ることが出来た:大域的性質である再帰性・非再帰生について,状態空間が有限測度を持つときは,対称安定型過程を特徴づける指数の値が0と2の間のいずれの値でも常に再帰であることが分かった.これは,これまでにおいて知られている結果-1次元の数空間を状態空間に持つ場合においての対称安定過程の性質;指数が1と2の間のとき再帰的であること-とは明らかに状況がことなることとなり,非常に興味深い結果であると思われる.さらに,対応するデリィクレ形式の生成作用素に対する調和関数がHarnackの不等式を満たすことを示すことに成功した.これは,状態空間上で定義された関数の滑らかさを測る一つの指標であるが,これが更に適当な条件のもとで単なる連続性よりも強い,ヘルダー連続性を持つことも分かった.
|