2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740058
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
上村 稔大 兵庫県立大学, 経営学部, 助教授 (30285332)
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Keywords | デリィクレ型式 / 飛躍を持つ対称マルコフ過程 / ハルナックの不等式 / フェラー性 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度,デリィクレ型式を用いて行った飛躍を持つマルコフ過程の構成に引き続いて,その標本路の性質についていくつかの特質すべき結果を得ることが出来た. 第一に挙げられるのは,デリィクレ型式,あるいは(その対応する)マルコフ過程の"生成作用素"と呼ばれるL^2-空間上の自己共役作用素の具体的に表示できるための条件を得た.これにより,いわゆる表像(シンボル)の表示も併せて得ることも出来た. これは,確率過程の基本関数である"特性関数"に相当するものである.次にその表像により,Schilling氏が以前得た,確率過程の球からの脱出時間の,表像を用いた簡便な導出が可能となった.更に,基本的な性質である"保存性"の条件をも確認することが出来た. 一方で,標本路の正則性の条件の一つであるハルナックの不等式について,限られた条件ではあるが得ることが出来た.これより,調和関数の正則性,特にヘルダー評価が得られる.ヘルダー評価自身は,ハルナックの不等式より直接は得ることが出来なかったが,これも密接に関係を持つ概念であった. 最後にヘルダー評価を用いて,レゾルベント(グリーン関数)の一様連続性が導出でき,その結果,構成されたマルコフ過程のフェラー性を得ることが出来たことは特質すべき結果であろう.現在,これらの結果をまとめた論文を鋭意作成中である. 今後は,この条件を以下に緩めるかが残っているが,これは来年度に引き続いて検討するべき課題である.また,具体的なモデルにおける飛躍型マルコフ過程のシミュレーションを行うことも挙げられる.
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