2004 Fiscal Year Annual Research Report
自由境界問題と放物型偏微分方程式に現れる特異性の研究-その数値的再現と応用
Project/Area Number |
16740061
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
牛島 健夫 東京理科大学, 理工学部, 講師 (30339113)
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Keywords | 自由境界問題 / クリスタライン曲率流 / ガウス曲率流 / Helle-Shaw問題 |
Research Abstract |
本年度行った研究は以下の3点である。 1.3次元のクリスタライン・アルゴリズムの研究(柳下浩紀氏との共同) 一般にクリスタライン・アルゴリズムはその構成の仕方から、良好な数値的安定性が期待できる、自由境界問題に対する優れた手法なのだが、現時点では、(1)曲線が非凸の場合及び(2)曲面の場合には、その理論的な裏付けが完全ではないという短所も持っている。我々は(2)の場合に関連して、凸曲面のGauss曲率流に対するクリスタライン・アルゴリズムを新たに構築し、その収束性を示した。 2.2次元クリスタライン曲率流の非凸自己相似解の研究(石渡哲哉・柳下浩紀・矢崎成俊3氏との共同) 滑らかな非凸閉曲線を曲率流によって発展させると、有限時間で凸になることが知られている。これに対して、クリスタライン曲率流の場合には、非凸のまま1点につぶれる自己相似解が存在することを発見した。さらに、この自己相似解の消滅の際の特異性に関する研究も行った。 3.Helle-Shawセル中を浮上する泡の数値的再現の研究(矢崎成俊・川口正美両氏との共同) 平行板の間の液体に下方から気泡を注入した際に見られる奇妙な分岐現象の理解を目指し、縦置きしたHelle-Shawセル中の泡の挙動の自由境界問題としての定式化・モデル化を行い、数値実験を行った。まだ十分な解析を行う段階には至っていないが、いくつかの興味深い知見が得られた。この課題は来年度への継続課題としたい。
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