2004 Fiscal Year Annual Research Report
金融派生商品に対する価格付け理論の確率論的アプローチに関する研究
Project/Area Number |
16740062
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
新井 拓児 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 助手 (20349830)
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Keywords | 数理ファイナンス / 価格付け理論 / 確率積分 / semimartingale / 非完備市場 / 同値martingale測度 / mean-variance hedging / 効用関数 |
Research Abstract |
今年度の前半は、これまでに得られたmean-variance hedgingに関する結果の改良を行った。mean-variance hedgingを導出するために課したvariance-optimal martingale measure (VOM)に関する条件の十分条件を部分的に与えることに成功した。このことによって、与えられたモデルに対し、mean-variance hedgingの導出が可能か否かの判断がつき易くなったと言える。そして、2004年7月に、数理ファイナンス分野における最大の国際シンポジウム「Bachelier Finance Society World Congress」(米国、シカゴ)においてこの結果を発表した。また、この結果を論文「Some properties of the variance-optimal martingale measure for discontinuous semimartingales」にまとめ、学術雑誌に投稿した。ただし、VOMに関する条件の十分条件を完全に与えたわけではない。そのため、定数1の確率積分空間上への射影の導出に関する研究は来年度以降も継続して行いたいと考えている。 また、今年度の後半は非完備市場モデルにおける条件付請求権の新しい評価法に関する研究を行った。それは、投資家の効用関数を用いた方法であり、条件付請求権を売買した場合としなかった場合それぞれの期待効用の最大値が等しくなるように価格付けを行う方法である。これを一般にutility indifference valuationと呼ぶ。近年、効用関数が指数型である場合の研究が盛んに行われている。しかし、指数型効用関数を用いると条件付請求権に強い可積分性条件を課す必要がある。そこで、この困難を克服するために指数関数をべき乗関数で近似する手法の提案を試みた。この近時法が、指数型効用関数を用いた場合の基本的性質を満たすことなどを示した。
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Research Products
(1 results)