2004 Fiscal Year Annual Research Report
量子カオス系の無限系からのアプローチによる数理情報的研究
Project/Area Number |
16740063
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
宮寺 隆之 東京理科大学, 理工学部, 助手 (50339123)
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Keywords | 量子カオス / 無限系 / 非平衡状態 / 化学反応 / 制御 |
Research Abstract |
本年度、私は量子カオスの性質に関する研究を二つの異なる側面より行った。 その一つは、カオス的な運動の結果として現れる非平衡状態を無限系を用いて数理的に扱うものである。私は、任意の次元における無限格子上の並進不変な非平衡状態(有限カレントがゼロでないもの)を考え、それの与える異なる時空点間での相関関数を調べた。その結果、非平衡性そのものより、この相関関数の切れ方が緩やかであることが導かれるということがわかった。手法としては、場の理論における南部・ゴールドストーンの定理を模したものを用いた。これはモデルに依らない極めて一般的な結論であり、非平衡状態における数理的な研究の初めてのもののひとつである。また、非平衡現象のみならず、他の現象にも適用可能ではないかと考えている。 また、私は化学反応論におけるモチベーションから、量子カオス系を制御することを考えた。より多くの化学反応をおこさせるには、望ましい状態へと分子系(量子カオス系)を外場によって制御することは重要な課題である。その結果、古典カオス系の制御とは異なり、必ずしも量子カオス系は制御しにくいというわけではないということを発見した。典型的には、量子カオス系の場合には、エネルギー準位反発がおこり、その時間スケールより小さい制御外場の成分は必要がなくなる。また、カオス性による記憶喪失のため、長時間の制御より短時間の制御が有効であることがわかる。本研究は理論的予測と数値計算により行った。
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Research Products
(2 results)