2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740067
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
河野 敏行 岡山理科大学, 総合情報学部, 助手 (90309534)
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Keywords | 前処理法 / 反復解法 / クリロフ部分空間法 / 大型疎行列 |
Research Abstract |
研究課題「計算機のための適応型前処理付き反復解法の研究」にそって今年度は次の点に絞り研究を行った,(1)特徴のある密な小行列に対する前処理の適用,(2)前処理による精度の違いの検証,(3)模範的な大型疎行列に対する前処理の適用,(4)BiCG-Stab法との比較である. (1)については,前処理の効果として非優対角行列の優対角化が期待できるということを応用数理学会2004年度年会にて報告した.すなわち,反復法が収束しない場合にも前処理を利用することによって収束可能となるということである.その前処理行列を生成するためのいくつかのアルゴリズムを開発した.(2)については,九州で行われた国際会議SCAN2004にて報告を行った.前処理付反復解法によって得られる近似解は前処理無しの場合に比べ,大きな差が生じることがあることが分かった.収束判定で利用しているノルムでは精度は変わらないが,精度のムラが大きくなっていることが分かった.この観点から,我々の前処理によって,反復の演算を部分的に行うことによって,全体の演算量を減らすことが可能であると推察される.(3)(4)については,京都大学数理解析研究所研究集会「21世紀における数値解析の新展開」および環瀬戸内応用数理研究部会年会にて報告を行った.模範的な大型疎行列として5重対角行列をパラメータによって作成し,我々の手法を適用した.その結果,Gauss-Seidel法は問題が対称,非対称にかかわらず,その優対角度に大きく依存した反復回数が得られ,前処理行列として利用する要素の値が大きいほど,その効果が大きいことが分かった.比較のためにクリロフ部分空間法のBiCG-Stab法を使用し,その効果を調べた.その結果,我々の前処理を適用したBiCG-Stab法は,非対称の場合,前処理に利用する要素に大きく依存する興味深い結果が得られた.
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