2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 誠 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (70312634)
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Keywords | 非線形 / 波動方程式 / 外部問題 / ディリクレ条件 / ディラック方程式 / マクスウェル・シュレディンガー方程式 / ストリッカーズ評価 / 初期値問題 |
Research Abstract |
非線形ディラック方程式と、マクスウェル・シュレディンガー方程式の初期値問題の研究と共に、異なる伝播速度を持つ非線形波動方程式系の外部問題の研究を行った。4本の発表論文(予定も含む)があり、以下に、それぞれを解説する。 [1]多次元空間での非線形ディラック方程式の小さな初期値に対する時間大域可解性をソボレフ空間及びベゾフ空間を用いて考察した。空間3次元における97年のEscobedo-Vega,及び03年のMachihara-Nakanishi-Ozawaの結果の多次元への拡張であり、新たに、ベゾフ空間における有界関数への埋蔵定理を用いることにより、尺度普遍性から定まる臨界指数における時間大域可解性も示した。 [2]非線形分散型方程式の解析で有効な手段であるストリッカーズ評価は、成り立つ指数にエンドポイントと呼ばれる特別な指数を持つ。ストリッカーズ評価を用いて非線形ディラック方程式の時間大域解を構成する場合、このエンドポイントに対応する解はエネルギー解であり、これまで取り扱いが難しかった。本論分では、球面調和関数を用いることによって、エネルギー有限な初期関数が角微分可能性を少しでも持つならば、時間大域解を持つことを示した。 [3]電子などの粒子が、それ自身の作り出す電磁場によって影響を受ける運動を記述する方程式であるマクスウェル・シュレディンガー方程式の初期値問題の適切性について考え、クーロンゲージ、ローレンツゲージ及びテンポラルゲージの場合について、初期値問題の時間局所適切性について考察した。 [4]異なる伝播速度を持つ準線形波動方程式系のコンパクトな障害物に対する外部問題について、重み付きソボレフ空間における小さい初期値に対して時間大域可解性を示した。この問題については既にMetcalfe-Soggeが、系の異なる伝播速度の波動同士についてnull condtionを仮定した条件下で時間大域可解性を示している。本論文ではこの条件を弱め、自己相互作用のみのnull condtionのみを仮定した条件下で時間大域可解性を示した。 また、非線形波動方程式の自己相似解についての研究を行った。現在、プレプリントであるが概要は以下のとおり。 [5]非線形波動方程式の自己相似解の構成の上では、ストリッカーズ評価と呼ばれる方程式の線形評価が重要となる。本研究では球面調和関数を用いることにより、ストリッカーズ評価に角変数の微分可能性についても評価指数として取り入れ、高い空間次元での自己相似解の存在を示した。
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Research Products
(4 results)