2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形関数解析学および集合値解析学の手法を用いた変分不等式問題の研究
Project/Area Number |
16740073
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 泰紀 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (20313447)
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Keywords | 極大単調作用素 / Mosco収束 / Bregman関数 / 距離射影 / リゾルベント |
Research Abstract |
本年度の研究計画として挙げられていた項目として、集合値解析の基礎的な研究および変分不等式問題に関連する収束定理の研究をおこなうというものがあるが、これらのうち特に後者についてはいくつかの有効な研究成果を得ることができた。これらの成果は今年度中に論文として発表されていたり、あるいは次年度の論文掲載が決定していたりするものもある。特に、Bregman関数を用いることによって得られた既存の定理の拡張や、この関数を用いて定義される点列の収束定理等の一連の結果については、変分不等式問題へのより直接的な応用が可能な結果であり、本研究の目標への進展があったと言えるものである。さらに、点列の収束のための必要十分条件についての研究も進み、強収束についてはその同値条件を得ることができた。この結果は、変分不等式問題を解く際の足掛かりとなるものであり、問題設定の妥当性や、解の近似列の性質を調べるのに有効な命題である。また、研究計画のもう一つの課題である、集合値解析の基礎的な研究についても研究は進められており、これに関連する論文として、本年度は増大作用素との関連が深い非拡大写像を一般化した漸近的非拡大写像に関する研究も進められた。こちらについては、弱収束定理および、ある種のコンパクト性を仮定した上での強収束定理が得られている。この結果にっいては、漸化式を用いた点列をあつかうことで、計算機によるシミュレーションをおこないやすい形の点列となっている。これらの事実は、本研究結果が今後の研究につながるものであることを裏付けており、現在執筆中の論文にも本結果からのアイディアが用いられている。以上のことから、本研究が順調に進み、一定の成果をあげていることが裏付けられていると言える。
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Research Products
(4 results)