2004 Fiscal Year Annual Research Report
非線形波動及び分散型方程式の初期値問題と解の漸近挙動
Project/Area Number |
16740081
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
下村 明洋 学習院大学, 理学部, 助手 (00365066)
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Keywords | 偏微分方程式 / 非線形シュレデインガー方程式 / 漸近挙動 / 非線形散乱理論 |
Research Abstract |
非線形波動及び分散型方程式の初期値問題と解の漸近挙動に関して研究した.主に非線形Schrodinger方程式の解の長時間的漸近挙動について,非線形散乱理論の枠組みで研究した.特に,この方程式の解の長時間的漸近挙動に於いて,線形部分の寄与と非線形性の寄与が丁度釣合う様な非線形項を取り扱った.散乱理論では,十分時間が経過した後に線形部分の寄与が非線形性に比べて大きい場合に短距離型散乱と呼ばれ,十分時間が経過した後に非線形項の寄与が線形部分のそれに比べて大きい場合に長距離型散乱と呼ばれている.即ち,短距離型散乱の場合には十分時間が経過した後に非線形項の寄与が無視出来,長距離型散乱の場合はそれが無視不可能である.私が取り扱ったのは,短距離型と長距離型の丁度境目に相当する場合で,具体的には空間次元がπ=1又は2の場合に,1+2/n次式で表される非線形項がそれに相当する.(解が小さい場合は,非線形項の幕が大きいと非線形項の時間減衰が速くなるので,短距離型に属し,非線形項の幕が小さいと非線形項の長距離型に属する.)例えば,空間2次元で2次の非線形項を持つ場合に,非線形項がu^2やn^^-^2の場合は非自明な漸近自由解が存在し得る事(短距離型に属し得る事)を示し,一方非線形項が|u|^2の場合には(大雑把に言うと)非自明な漸近自由解が存在しない事(短距離型理論では取り扱えない事)を証明した. この他にも・空間2次元に於けるKlein-Gordon-Schrodinger方程式系や空間3次元に於けるZakharov系の解の漸近挙動や,電磁場ポテンシャル付きの非線形Schrodinger方程式の局所可解性と任意の空間次元に対する強解の平滑効果についても研究し,成果が得られた.
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