2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740082
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
厚芝 幸子 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (20327761)
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Keywords | 不動点 / 非拡大写像 / 非拡大半群 / 非線形関数解析学 / 非線形エルゴード定理 / 非線形発展方程式 / 非線形最適化問題 / 制約可能性問題 |
Research Abstract |
本研究は「不動点理論からの非線形問題の究明」と題し、不動点理論の考えを用い、非線形問題の解の存在および近似の問題を究明することを目的とする。具体的には,不動点および変分不等式の解をもとめる近似法の一つの体系を確立し,制約可能性問題,非線形最適化問題,非線形発展方程式の解の問題などの非線形問題をこの体系・不動点理論の立場から再構成し,非線形問題の解の近似法の体系を確立することを目指すものである。本年度は特に、種々の近似法による不動点への収束定理に関する基礎理論を確立することを目標の1つとし、まず、不動点理論の立場からこういった非線形問題を見直し、数学的に把握して数学的に再構成してきた。その結果、非線形発展方程式や制約なしの凸最小化問題など非線形最適化問題の解を求めることは非線形エルゴード定理、およびMann型やHalpern型などに代表される点列を構成することによる近似法の考えに帰着することがわかり,多くの結果を得た。それにより,これまでの近似法を発展させるとともにまた新たな近似法の開発をし,それらを組み合わせることの必要性も分かった。その結果として、平均の概念を拡張した写像を用いて、写像族の共通不動点への近似法をいろいろと考察するとともに、最適化問題や非線形発展方程式などへの応用の足掛かりも確立した。 一方,特に可算個の制約式問題を意識し、非拡大写像をサイクリックに作用させる点列を構成する方法、また非拡大写像族の凸結合を用いた点列を構成する近似法をいろいろ考察するとともに、可算個の制約式問題へ応用した。本年度は特に、基礎理論の研究の一環として、バナッハ空間の幾何学的特長付けも研究し、その結果を用いて従来研究されてきたBanach空間をひとまとめに扱える、より一般的なBanach空間における非線形エルゴード定理およびMann型の点列の収束定理を証明した。また、従来あまり考えられていなかった手法の開発の必要性もわかり、implicit型の点列を構成する近似法で写像族に対する収束定理も証明し,それを使って非線形問題の解の近似法に結びつく結果も得た。これらの結果は国内外の研究集会の際の意見・情報収集および多くの文献収集や多くの研究者との意見交換・打ち合わせなどが功をなしたといえる。国際会議で発表して非常に関心をもたれたこともここに報告する。
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Research Products
(4 results)