2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740087
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高坂 良史 室蘭工業大学, 工学部, 講師 (00360967)
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Keywords | 表面拡散流方程式 / 相境界 / H^{-1}-勾配流 / 線形化安定性 / 変分問題 |
Research Abstract |
平面上の有界領域で3重結節点(triple junction)をもつ3相境界の運動が、幾何学的な時間発展方程式の1つである表面拡散流方程式によって記述される数学モデルについて解析を行った。この数学モデルはH.GarckeとA.Novick-Cohenによって、退化移動度係数をもつCahn-Hilliard方程式系の特異極限をとることにより導出された幾何学的時間発展方程式モデルであり、4階非線形放物型偏微分方程式系の初期値境界値問題として表される。また、この幾何学的時間発展方程式モデルは、各相境界の長さの和で表されるエネルギー汎関数のH^{-1}-勾配流(gradient flow)として表記されることが知られている。本年度は、この幾何学的な数学モデルの定常解(3重結節点で互いに交わる円弧又は線分の組)の安定性に関する理論的な解析を行った。より具体的には、この非線形モデルを定常解の周りで線形化し、導出された線形化問題に対応する固有値問題を解析することによって、定常解の安定性の判定基準を数学的に導出した。さらに、その判定基準をもとに解析を進めた結果、少なくとも定常解が3線分の組で表される場合と1つの線分とその線分に関して線対称な円弧の組で表される場合について、不安定次元(不安定固有値の数)が最大3であるという結果を得た。この幾何モデルは、平面上の有界領域においてネットワークを形成する各曲線の長さの和を各曲線が互いに囲む面積が一定という条件のもとで最小にするという変分問題と密接に関係しており、今回得た結果はそのような問題への応用が期待される。またこの線形化安定性の結果をもとに、この数学モデルの定常解の非線形安定性に関する理論的な解析が進展することが期待される。
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Research Products
(1 results)