2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740087
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高坂 良史 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (00360967)
|
Keywords | 表面拡散方程式 / 相境界 / 幾何学的発展方程式 / 線形安定性 / 非線形安定性 |
Research Abstract |
平面上の有界領域で相境界を表す曲線の運動が、幾何学的時間発展方程式の1つである表面拡散流方程式によって記述される数学モデルについて解析を行った。表面拡散流方程式は1950年代にW.W.Mullinsによって材料工学の論文の中で界面の動きを支配する方程式として提唱された幾何学的時間発展方程式の1つであり、この発展方程式は異種境界面(interface boundary)の運動を記述するモデル方程式として知られている。また、この方程式は曲線をある種の関数によって記述することで、その関数を未知関数とする4階非線形放物型偏微分方程式の初期値境界値問題として表されることが知られている。本年度は、この幾何学的な数学モデルの定常解(円弧又は線分)の安定性に関する理論的な解析を行い、定常解の線形安定性の判定基準に用いたエネルギーの第2変分の解析と曲率に関する方程式に対しエネルギー法的な手法を適用することで、定常解の非線形安定性を明らかにした。より具体的には、初期状態が線形安定(定常解の周りでの線形化問題に対応する固有値問題の固有値がすべて負)な定常解にエネルギー的にみて近い場合に、その初期状態を出発点とする幾何学的時間発展方程式の解が、この定常解に時間発展とともに漸近的に近づいていくことを明らかにした。今回適用した手法は、3重結節点(triple junction)をもつ3相境界運動が曲率流方程式又は表面拡散流方程式によって記述される数学モデルの解析にも適用可能であると考えられ、それらの数学モデルに対する定常解の非線形安定性について、今後理論的な解析が進展することが期待される。 また、変分構造が異なるが、表面拡散流方程式と同様、方程式の主要項に曲率の2階導関数をもつヘルフリッヒ流方程式に対して得た球面の周りでの大域解の存在等に関する結果が、論文として国外の雑誌に公表された。
|
Research Products
(1 results)